家族が突然吐いてしまったり、下痢をして床や衣類を汚してしまったりすると、
「どうやって片付ければいい?」
「普通に拭くだけで大丈夫?」
「漂白剤はどのくらい薄めればいいの?」
と慌ててしまいますよね。
特にノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が疑われる場合は、嘔吐物や便を介して家庭内に感染が広がる可能性があるため、処理の仕方に注意が必要です。
まず大切なのは、
使い捨て手袋・マスクなどを着ける
↓
嘔吐物や便を飛び散らせないよう静かに取り除く
↓
汚染された場所を適切に消毒する
↓
使用したペーパーなどを袋に入れて密閉する
↓
最後に石けんと流水でしっかり手を洗う
という流れです。
この記事では、厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」を基本に、家庭で嘔吐物や下痢便を処理するときの方法を紹介します。
自治体から別の具体的な処理方法が案内されている場合は、その案内も確認してください。
ノロウイルスなどの嘔吐物・下痢便はなぜ注意が必要?
ノロウイルスに感染した人の便や嘔吐物には、多くのウイルスが含まれていることがあります。
また、嘔吐物などを適切に処理せず乾燥させてしまうと、ウイルスを含む小さな粒子が舞い上がり、それが口に入って感染につながる可能性があります。
そのため厚生労働省では、嘔吐物や便は乾燥しないうちに速やかに処理することを重要な感染対策として案内しています。
だからといって、慌ててゴシゴシこするのも避けたいところです。
飛び散らせないよう、静かに処理していきましょう。
嘔吐物を処理する前に用意するもの
家庭で用意しておきたいのは、主に次のものです。
- 使い捨て手袋
- 使い捨てマスク
- 使い捨てエプロン
- ペーパータオルや新聞紙など
- ビニール袋
- 次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤
- 必要に応じて眼鏡やゴーグル
飛び散りが心配な場合は、目を守るために眼鏡やゴーグルがあると安心です。
また、処理する人以外は汚染された場所へ近づかないようにしましょう。
可能であれば処理前から換気する
処理を始める前に、可能であれば窓を開けて換気します。
ただし、扇風機やサーキュレーターなどで嘔吐物へ直接風を当てるのは避けてください。
乾燥した汚染物を舞い上げてしまう可能性があるためです。
近くにいる家族や子ども、ペットなどは別の部屋へ移動させてから処理すると安心です。
処理が終わったあとも、十分に換気しましょう。
消毒には次亜塩素酸ナトリウムを使う
ノロウイルス対策では、一般的なアルコール消毒だけに頼るのではなく、次亜塩素酸ナトリウムなど、ノロウイルス対策として案内されている方法を使うことが重要です。
家庭では、「塩素系漂白剤」と表示されている製品の中に次亜塩素酸ナトリウムを含むものがあります。
ただし、
「次亜塩素酸ナトリウム」と「次亜塩素酸水」は別のものです。
この記事で家庭用漂白剤として説明しているのは、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤です。
使用前には必ず商品の成分表示と使用上の注意を確認してください。
消毒液は何ppmにすればいい?

ここは間違えやすいところです。
この記事では、厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&A」の家庭向け手順を基本に考えます。
嘔吐物や便を拭き取ったあとの床
厚生労働省では、約200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き、その後水拭きする方法を案内しています。
嘔吐物や使用したペーパーなどを入れた袋
使用したペーパータオルなどを袋に入れて密閉し、可能であれば袋の中の廃棄物が浸る程度に約1000ppmの次亜塩素酸ナトリウムを入れる方法が示されています。
つまり基本的には、
床など:200ppm程度
廃棄物の袋:1000ppm程度
と覚えると分かりやすいです。
ただし、自治体によっては嘔吐物で汚染された場所について1000ppm程度を案内している場合もあります。
お住まいの自治体や保健所から具体的な案内が出ている場合は、その方法も確認してください。
家庭用塩素系漂白剤を薄めるときの注意
以前の記事では、
「ペットボトルのキャップ○杯」
という作り方を紹介していました。
しかし、家庭用塩素系漂白剤は製品によって次亜塩素酸ナトリウムの濃度が異なるため、すべての商品に同じ量を当てはめることはできません。
厚生労働省の資料では、次亜塩素酸ナトリウム濃度6%の製品を例に、
- 約200ppm:水3Lに対して約10mL
- 約1000ppm:水3Lに対して約50mL
という希釈例が示されています。
ただし、これは6%製品の場合です。
5%など別の濃度なら必要量も変わります。
そのため、
ボトルに書かれている濃度を確認する
↓
製品メーカーや自治体が示す希釈方法に従う
という方法が安心です。
塩素系漂白剤を使うときに注意したいこと
次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤には、取り扱い上の注意があります。
特に重要なのが、酸性タイプの洗剤などと混ぜないことです。
塩素系漂白剤と酸性のものを混ぜると、有害な塩素ガスが発生する危険があります。
また、
- 原液を嘔吐物へ直接かけない
- 素手で触らない
- 手指の消毒には使わない
- 十分に換気する
- 製品の注意表示を守る
- 子どもの手が届かない場所で扱う
といった点にも注意してください。
嘔吐物そのものが酸性の場合もあるため、塩素系漂白剤の原液を嘔吐物へ直接かけるのは避けましょう。
嘔吐物・下痢便の処理手順

それでは、実際の処理方法を見ていきましょう。
1.処理する人以外を近づけない
まず、子どもや他の家族、ペットなどが汚染された場所を歩かないようにします。
人が歩き回ると、靴下やスリッパなどを介して汚染を広げてしまう可能性があります。
2.手袋・マスク・エプロンを着ける
処理する人は、
使い捨て手袋
使い捨てマスク
使い捨てエプロン
を着用します。
嘔吐物が飛び散っている場合などは、眼鏡やゴーグルもあると安心です。
3.ペーパータオルなどで嘔吐物を静かに取り除く
嘔吐物や便をペーパータオル、新聞紙などで覆います。
その後、外側から内側へ寄せるようにして静かに拭き取ります。
ゴシゴシこすると飛び散る可能性があるため、できるだけ静かに処理してください。
使用したペーパータオルなどは、その場でビニール袋へ入れます。
4.汚染された床や周辺を消毒する
嘔吐物を取り除いたあと、その周囲も含めて消毒します。
厚生労働省では、拭き取ったあとの床について、約200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭き、その後水拭きする方法を案内しています。
ただし、自治体によって具体的な消毒濃度の案内が異なる場合があります。
自治体のノロウイルス・感染性胃腸炎対策ページがある場合は、それも確認してください。
なお、次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させたり、布などを脱色させたりする場合があります。
使用できる素材か確認し、必要に応じて消毒後に水拭きをします。
5.使用したものをビニール袋へ入れる
処理に使った、
- ペーパータオル
- 手袋
- マスク
- 使い捨てエプロン
などは、汚れた面にできるだけ触れないようにしてビニール袋へ入れます。
厚生労働省では、嘔吐物等を拭き取ったペーパータオルなどを袋に密閉し、可能であれば袋内の廃棄物が浸る程度の約1000ppmの次亜塩素酸ナトリウムを入れる方法を案内しています。
袋を強く押して空気を抜いたり、汚染物を圧迫したりする必要はありません。
ごみの出し方については、お住まいの自治体のルールに従ってください。
6.処理後も十分に換気する
処理が終わったあとも、窓を開けるなどして十分に換気します。
この場合も、扇風機などで汚染箇所に強い風を直接当てる必要はありません。
7.最後に石けんと流水で手を洗う
処理が終わったら、手袋をしていた場合でも必ず手を洗います。
石けんを使って丁寧に洗い、流水で十分に流してください。
アルコール消毒だけで済ませず、まずは石けんと流水による手洗いを行うことが大切です。
動画で嘔吐物の処理方法を確認したい場合
文章だけでは、
「実際にどうやって拭き取るの?」
「防護具はどう外せばいい?」
と分かりにくいですよね。
その場合は、東京都公式の動画が参考になります。
東京都公式|ノロウイルス対策のためのおう吐物の処理方法
嘔吐物を処理するときの実際の流れを動画で確認できます。
個人の解説動画ではなく自治体の公式動画なので、今回の記事の補足として使いやすい内容です。
アルコール消毒だけではダメ?
ノロウイルス対策では、
「アルコールスプレーをかけて終わり」
とは考えない方がよいでしょう。
厚生労働省は、ノロウイルスを確実に失活させる方法として、次亜塩素酸ナトリウムや加熱などを案内しています。
また、手指についてもアルコール消毒だけに頼らず、石けんと流水でウイルスを物理的に洗い流すことが重要です。
汚れた衣類やシーツはどうする?
嘔吐物や下痢便が付いた衣類やシーツを、そのまま他の洗濯物と一緒に洗濯機へ入れるのは避けましょう。
まず、使い捨て手袋やマスクを着けます。
付着している嘔吐物などを飛び散らせないよう静かに取り除き、その後、洗剤を入れた水の中で飛沫を立てないように静かに下洗いします。
下洗いしたあと、素材に応じて、
85℃以上で1分間以上の熱水洗濯
または、
次亜塩素酸ナトリウムによる消毒
を検討します。
厚生労働省でも、ノロウイルス対策として85℃以上・1分間以上の加熱や、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒を案内しています。
ただし、塩素系漂白剤を使うと色落ちしたり、生地を傷めたりする場合があります。
必ず衣類の洗濯表示と漂白剤の注意事項を確認してください。
また、下洗いに使った場所や容器も、必要に応じて洗浄・消毒します。
カーペットや布団に吐いてしまった場合は?
カーペットや布団は、塩素系漂白剤を使うと変色や傷みが起こる可能性があります。
また、厚みのある寝具などは内部まで汚染が入り込むこともあり、床のように簡単には処理できません。
熱に耐えられる素材では加熱処理が選択肢になる場合もありますが、素材によって対応方法が異なります。
自己判断で大量の漂白剤をかけるのではなく、
- 製品の洗濯・取扱表示を確認する
- 洗濯できるものは適切に処理する
- 処理が難しい寝具などはクリーニング業者へ相談する
など、素材に合った方法を選びましょう。
ドアノブやトイレも消毒した方がいい?
感染者が触れた可能性がある、
- トイレの便座
- レバー
- ドアノブ
- 蛇口
- 手すり
などにもウイルスが付着している可能性があります。
自治体では、こうした人がよく触れる場所について、0.02%(200ppm)程度の次亜塩素酸ナトリウムでの消毒を案内している例があります。
ただし、金属部分などは腐食する可能性があります。
使用後は必要に応じて水拭きし、素材や製品の注意事項も確認してください。
嘔吐物の処理でやってはいけないこと

家庭で処理するときは、次のような方法は避けましょう。
- 素手で触る
- 嘔吐物を勢いよく拭いて飛び散らせる
- 乾くまでそのまま放置する
- 掃除機で吸い取る
- 塩素系漂白剤の原液を直接かける
- 酸性洗剤などと塩素系漂白剤を混ぜる
- 塩素系漂白剤を手指消毒に使う
- 汚れた衣類をそのまま他の衣類と一緒に洗う
- 処理後の手洗いを省略する
特に、塩素系漂白剤と酸性タイプの製品を混ぜないことは重要です。
商品に「まぜるな危険」と表示されている場合は、その注意を必ず守ってください。
嘔吐や下痢が続く場合は脱水にも注意
感染対策とは別に、本人の体調にも注意が必要です。
嘔吐や下痢が続くと、水分や電解質が失われ、脱水になることがあります。
特に、
- 乳幼児
- 高齢者
- 持病がある人
- 水分をほとんど取れない人
では注意が必要です。
ぐったりしている、尿が極端に少ない、水分が取れないなど心配な症状がある場合は、医療機関へ相談してください。
まとめ
ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が疑われる人の嘔吐物や下痢便を処理するときは、飛び散らせず、乾燥する前に速やかに処理することが大切です。
基本的には、
処理する人以外を近づけない
↓
可能なら窓を開けて換気する
↓
使い捨て手袋・マスク・エプロンを着ける
↓
ペーパータオルなどで外側から内側へ静かに拭き取る
↓
床などを約200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで消毒する
↓
使用した物を袋に入れ、可能なら廃棄物に約1000ppmを使用する
↓
処理後も換気する
↓
石けんと流水で丁寧に手を洗う
という流れが基本です。
ただし、塩素系漂白剤は製品によって原液濃度が違います。
「キャップ○杯」と一律に覚えるのではなく、製品表示や自治体・保健所の案内を確認して正しく希釈するようにしましょう。
また、酸性洗剤などと塩素系漂白剤は絶対に混ぜず、原液を嘔吐物へ直接かけないことも大切です。
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